金融法改正でクレジットカードはどう変わった?

●2006年頃からなにが変わっていたのか?
2010年に改正貸金業法が「完全」施行されました。完全施行というのには理由があり、2006年頃から徐々に施行されていたのです。ご存知の方も多いと思いますが、武富士が倒産した事件、あの時代になにがあったのかと言えば、最高裁判所でグレーゾーン金利は廃止しましょうというような提言があったのです(正確にはみなし弁済を否定する判決が出た)。これに反対をしていたのが、自民党の議員たちであり、自民党はサラ金業界から相当な金銭的支援を受けていたのではないかと言われたりもしました。
紆余曲折あり、2010年に完全に改正貸金業法が施行され、いまだにいくつかのクレジットカード会社は過払い金の支払いをしており、安定した財務内容に至っていません。

●ゴールドカードばかり5枚も持てた時代
2010年に改正貸金業法が施行されるずっと前の時代は、ゴールドカードを5枚くらい持っている人はふつうにいました。ゴールドカード1枚でたとえば200万円くらいのキャッシングが可能です。5枚あると1000万円のお金をATMで引き出すことができます。これを会社の資金繰りに使っていた経営者だっていました。
現在は、法改正されて、総量規制というものがあります。年収の1/3の範囲のなかでお金を貸しましょうという法律です。よって年収1000万円の社長さんは、ざっくりと300万円そこそこのお金しか借りることができないということです。
この年収の1/3の枠というものは、サラ金とクレジットカードが主な対象であり、住宅ローンや車のローンは計算外です。あくまでもサラ金とクレジットカードのみが対象です。クレジットカード会社A社で年収の1/3枠めいっぱいの借入残高(利用残高)があれば、クレジットカードB社やサラ金C社からの新規の借り入れもできません。
つまり自転車操業を法的に規制したわけです。理由はシンプルで自転車操業をしながら自殺に追い込まれた人が増えて、そういう人たちを救済するように世論が動いたからです。
よって、現在は、20年くらい前に比べたら、自己破産はとても簡単にできる時代です。過払い金の返還請求を安易にしている人も多いようですが、あれだって債務整理の1つですから(完済していれば別)、法改正によって、消費者の権利が大きく守られるようになったのです。

●法改正の趣旨とは?
いままで、クレジットカード各社は利息制限法と出資法の2つの法律に基づいて営業をしていました。利息制限法は上限金利が低く、出資法は上限金利が29%超と高いものです。また、利息制限法は違反しても罰則がないのに対して、出資法は禁固刑などの罰則が厳しく適応されます。クレジットカード各社がどう判断したかといえば、出資法のみを守るようにしていたということです。利息制限法に違反しても、さしたる罰則がないので。
利息制限法において10万円以上100万円未満の場合は金利18%までと決まっています。
出資法による上限金利は年利29.2%に設定されています。この29.2%と18%の差額ぶん、これが過払い金にあたります。この金利の差をグレーゾーン金利と呼びます。
リボ払い(特にキャッシングのリボ払い)は、出資法ギリギリであることも多く、過払い金の返還請求をしたら、借財はゼロになり、なおかつまだお金が返ってきたという人もたくさんいるのです。

●年収証明書はめんどうですか?
このような背景があり、現在では上述したように、年収の1/3までの枠が設けられており、年収を示す年収証明書がないと、ほとんどのクレジットカードをつくることがむずかしい状況になりました。1社からの貸付残高が50万円を超える場合(貸付残高=キャッシング利用可能枠と考えられるので利用枠が50万円を超える場合を含む)あるいは、複数の貸金業者からの貸付けの総残高が100万円を超える場合、かならず年収証明書の提示が求められます。めんどうに思う人も多いと思いますが、法律ですから、仕方ないでしょうね。

●クレジットカード各社の言い分
自民党政権に守られてすくすくと育った感のあるクレジットカード各社は、ある意味ではグレーゾーン金利を利用するだけ利用して、急成長した業界であるとも言えます。武富士の会長は長い間、高額納税者1位でしたからね。
しかし、クレジットカード各社にも、言い分があり、それは、年収が低い人であっても(年収証明書を出せないような人であっても)貸付を行って、それなりに高金利をかけていたら、少なくとも会社として貸付全体を見たときに、元金くらいは回収できるという理屈です。たしかにそういう事実があったわけです。
毎月、リボ払いで高い金利を支払っていた人もいます。片やお金を借りて3回だけ支払いをして破産する人もいます。そういういろんな人の経済活動を総合的に見たときに、グレーゾーン金利は、クレジットカード会社の利益を守るものだったのも、また事実です。

グレーゾーン金利が撤廃されて、今日、どうなっているのか?
お金が必要な人であっても、年収が低いと貸してくれません。カード会社が貸したくても法律で貸せません。過払い金の支払い原資を稼ごうにも、貸す相手がいないので、カード会社は赤字のままです。銀行に運良く吸収されたらまだいい方です。倒産寸前の会社もあります。
貸金法が改正されて、消費者保護がなされるようになった背景には、新たな問題が山積しているのです。万人に良い法律はないと言われますが、金融法はまさに万人に良い法律であるとは言い難いものです。かと言って、コンビニでお茶を買う感覚でキャッシングができた時代が良いかと言えば、それもまた良くないのですが。